これよりいいクラシックギター教則本を私は知らない。
こんにちは、Onionです。
スコット・テナント著 Pumping Nylon(パンピング・ナイロン)を紹介します。
スコット・テナント
久しぶりにギターを弾き始めました。
最初はそんなにやると思ってなかったけど、時間があるからけっこう弾いちゃう。
で、そうすると、やっぱり指が動かないのが気になってきて。
持ってた教則本で、たしかいいやつあったなーと引っ張り出してきました。
著者はスコット・テナント。
ロサンジェルス・ギター・カルテット(LAGQ)の一人で、演奏者としてだけではなく教育者としても有名です。
アメリカ人初の東京国際ギターコンクール優勝者(89年)でもあるそうです。
あとパリ国際ギターコンクールとトロント国際ギターコンクールで銀メダル。
1962年デトロイト生まれということで、なんと今年還暦ですね(2022年現在)。
お肌がつやつやでも年齢より若く見えますね。
ハイスクール時代、コンサートバンドではトロンボーン、スクールオーケストラではヴァイオリンを演奏していた。
さすがテナント、多才です。
1980年にカリフォルニア大への入学のためロサンジェルスに移ってきて、その頃にかの有名なロサンジェルス・ギター・カルテット(の前身、USCギターカルテット)が結成されたとのこと。
本のタイトルは日本語カタカナ的にはポンピング・ナイロンになるのかな。
発音的には「パ」のがあってると思ったので、パンピング・ナイロンにしてます。
久しぶりに開いてみたけど、やっぱりいいですねー、練習してる気がします。
簡単にポイントを紹介します^_^
課題別テクニックを習得する新しいアプローチ
と、副題にかいてあります。
基本的には右手と左手について、それぞれのフォームからエクササイズについて解説がされています。
このエクササイズがすごい。
すごい効くっていうか、腕がパンパンになるっていうか、、
これをやったあとに表紙をみて、なるほど!
と思いました。
なんだかって?
それは、表紙背景になぜかある「力こぶ」の写真。
そう、つまりこれは
筋トレっ!!
筋トレっ!!!
なんです。
パンピング・ナイロンのパンは腕パンパンのパンなのでは?
と、、それくらい左手が、、(あがらない)
私の認識ではギターは、1に脱力、2に脱力ってくらい、脱力が課題だった気がします。
でも、この本は筋トレ。
んー、どうなんでしょうかね?
でも、ちょっと考えてみよう。
アスリートは、やってるスポーツに必要な筋肉を鍛えています。
じゃ音楽家は?
演奏に筋肉使いますよね?
ということは、楽器演奏もその楽器に必要な筋力を鍛えなければ上達しないということでは?
まあ、私は素人に毛が生えたようなもんなので、適当なことを言っています。
でも、昔この本で一生懸命に練習していたときには、急に上達したせいで仲間にずるーっいと言われたのを覚えてます。
技術的にワンランクアップしたい人は、一度手に取ってみてはいかがでしょうか?
左手について
簡単にフォームの解説があります。
そのあと左手のエクササイズについて解説されます。
- 圧力と解放
- 上行スラー
- 下行スラー
- 各指の独立
- バレー(セーハ)
- 左手のための4声の練習曲 Quadrival Quandary
- スラーの練習曲 Fanfare
の構成です。
各指の独立はかなりきついです。
中でも同一弦上でのストレッチが、やばい。
ちょっと分かりにくいですが、1つ紹介します。
1指(人差し指)で6弦1フレットをおさえて2指(中指)でハンマリングしていきます。
2指(中指)で2フレット~4フレットまでハンマリング2往復。
次は5弦で、順番にこれを1弦までやって、また6弦まで往復。
伝わります?
中指で、2フレットのハンマリングは普通ですね?
中指で3フレットのハンマリング、、まあ、できますよね。
中指で4フレットのハンマリング?
なんかきつくない?
それを、6弦で2往復して?
6弦から1弦まだやって?で、6弦までもどる?
はあ、はあ、まあまあやるやん‥
はい!じゃ、次は3指(薬指)でハンマリングっ!さっき同様に、今度は3指で2フレット~5フレットまでハンマリングして……
ん?薬指で5フレットのハンマリングっ!?
ぜえ、ぜえ、マジかっ!(オニっ!!)
はい!じゃ、次は4指(小指)でハンマリングっ!さっきと同様に、今度は4指で3フレット~7フレットまでハンマリングして………
こっ(こゆびっ)っ!な、7‥っ!!!
っ、っっ、(声がでない)
いや、7フレットはないでしょ、7フレットはっ!!
でも、すごーくききます。
もちろん、その他のエクササイズもいいですよ^_^
右手について
右手もフォームの解説があります。
右手は音色からエクササイズまで解説されます。
- 音色を創る
- 爪の長さと形
- アポヤンド
- アライレ
- 右手の指の独立
- アルペジオの練習 タレガコンプリートスタディより
- 親指について
- フラメンコ・テクニック
だいたいこんな構成です。(少し簡略)
私はそう習ったので気にならなかったですが、プラントについての説明もあります。(プラントとは、弾く前に弦を捉えること、弦を捉えてから弾く)
右手の中で、爪の形についての項目はとても興味深いです。
私のサークルではどちらかというと指先の輪郭に沿って形を整える、という形の形成が基本でしたが、爪の形の認識が全く変わりました。
これがいいか悪いかはわかりませんが、私にはとてもよかったです。
音がこもらない、立ち上がりのはやい音が出せる。はやくひける。
私は薬指だけ傾斜が下向き(上から見て右下がり)に整えるようになりましたが、こうすると弦離れめちゃくちゃ早くなります。
あまりの素早さに、指先が弦から滑り落ちているように感じられるでしょう。
Pumping Nylon
と、本にも書いてあります。
あと、ラスゲアードのエクササイズもいいですね。
ラスゲアードを練習することで伸筋(指を外へ開く際に使う筋肉)を鍛えることができます。多くの演奏家が、すばらしいスピードと正確さは、どれだけ素早く指を外側に動かすか(手のひらの方向ではなく)にかかっていると確信しています。このことが、ほとんどのフラメンコ・ギタリストが凄まじいスピードでスケールを演奏する能力をもっている理由でしょう。
pumping Nylon
毎日のウォーム・アップそのほか
右手・左手それぞれについて、毎日のウォーム・アップエクササイズの紹介があります。
ほとんど、上で紹介されていたことから抜粋している感じです。
つづいて、トレモロ・スケール・アルペジオについてエクササイズが紹介されます。
スケール・スタディーに「バッハのダブルー無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番クーラントより」があります。
Aマイナーにアレンジされていて、スケール練習がしやすい。
バッハ弾けるやん!てなります。
アルペジオは、マウロ・ジュリアーニによる右手のための120の練習曲が、10曲づつのグループに分けて提示されています。
最後に、アンドリュー・ヨーク作曲 Dadactic doodle(説教的ないたずら書き)
が収録されています。
とてもいい曲です。
覚えるのは大変ですが。
終わりに
久しぶりに開いてみて、やっぱりすばらしい本だなーと思いました。
学生の時は、しんどいところはぶっとばして、自分のできるところだけやってました。
でも、順番に1からやっていくと、前よりもずっとこの本の素晴らしさが理解できて、改めて良書だと思いました。
内容は正直、中級以上だと思います。
でも、初心者の方でも参考になる点がたくさんあり、クラシックギターをやる人みんなにおすすめしたいです。
以上、参考になればさいわいです。
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